夜のサイゼには、人々の物語がある。

夜のサイゼリヤは、人種のるつぼかもしれない。
 
 
先日、夜ごはんを食べに都内のサイゼに行った日のこと(ちなみにその場所はかなり治安のいい方かと思われる)。
 
右の席には、テーブル上にズラリとたくさんのお皿を並べたおひとりさまのOL。なんだろう、「いつもお仕事おつかれさま」と肩を叩きたくなるこの感じ。
 
左の席には、ひとりでグラスワイン(悪名高きあの安ワイン)を飲みながら資格の勉強的なことをしているスーツの男性。サイゼでワイン飲みながら資格の勉強って、意識が高いのか低いのか皆目見当がつかないよ…。
 
なんていうか、この時点で濃い。『クワイエットルームにようこそ』とか『イン・ザ・プール』とかそんな感じの。そこはかとなく松尾スズキが出てきそうな感じの。
 
で、奥には、6人くらいでワイワイお酒を飲みながら楽しそうに話す若い男性ウェイグループ。あぁ、サイゼだ。これこそわたしが知っているサイゼだ。
 
この近所には大学もあるし、サイゼで酒盛りなんてどうせ大学生とかだろう、若いな。わたしも学生時代はよくサイゼ飲みして、安ワインでへべれけになって、バカやったりなんだりしたなとか思いながら、話に耳を傾けてた。というか、彼らの話し声がデカいから、聞く気がなくても自然と会話が耳に入ってきた。
 
 
ウェイ男1「ペチャクチャペチャクチャ…いやー、子どもに読む絵本がネタ切れでさ〜」
 
 
んっ…?
 
今、「子ども」って言ったか?え、聞き間違い?
 
 
ウェイ男1「うちの娘、もう白雪姫もシンデレラも飽きたって言うんだよ」
ウェイ男2「わかる、絵本選びって大変だよな…」
 
 
はっ!?!?!?
 
 
 
パパだった…学生かと思ったらまさかのパパ軍団だった…まじかよ…。
 
しかも、見るからにアホっぽい軍団なのに、真面目に子育ての話してるよ…まじかよ…。
 
その後も彼らは、「子どもに読み聞かせする際の苦労」「子どもの絵本選びについて」「自分が小さい頃好きだった絵本の思い出話」などを、大声でくっちゃべっていた。サイゼの安酒を飲みながら。
 
若いのにちゃんと家庭をもち、おそらく子育てにもそれなりに参加して、友人との飲み会も家計を圧迫しない程度のファミレス。そしてその飲み会でも子育ての苦労をシェアするなんて…。
 
なんだろう、すごいグッときた。
 
お前ら、ただのいいお父さんかよ…。
 
ごめん、見た目だけで「アホそうだなこいつら、さすがサイゼの民度」とか思っちゃってごめん…。あんたたち、わたしなんかよりよっぽど立派な人間だよ…。
 
 
泣いた。
 
全わたしが泣いた。
 
泣きながらイカスミパスタ食ったら口のまわりがホラーになった。
 
だけど、なんだかちょっぴり、あったかい気持ちになった。
 
 
 
1,000円足らずでそこそこおいしいごはんを食べられる上に、松尾スズキ的な人間たちを観察できて、パパ軍団の子育て談義にほっこりできる。
 
夜のサイゼのコスパたるや。