ゴールデン街に馴染めなかったサブカル女子のお話

10代の頃から絵に描いたようなサブカル女子だった(ただし見た目はギャル)わたしは、ゴールデン街に強い憧れを抱いていた。憧れのミュージシャンや作家たちが集うゴールデン街は、さぞかし素晴らしい場所なんだろう…。ユニークな人たちとの出会いがたくさんあって、クリエイティビティがビシバシ刺激されるんだろう…。そう夢に描いてた。

 

ゴールデン街で合計3軒のお店に行ったものの、どこにも馴染めなかった

1軒目は、音楽関係の大人に連れられて音楽系のお店へ。そこは割と常連や通向けな雰囲気で、まだ学生だったわたしはとにかく緊張しまくりだった。いわゆる業界人トークが繰り広げられていて、「あぁ、これが大人の世界…わたしにはまだ早そうだな…」と感じたのを覚えている。

 

2軒目は、常連の知人に連れられてコンセプトはそんなにない感じの普通のお店へ。この頃には、「そろそろゴールデン街を開拓しても十分な年齢だ!」って思ってたし、割と前のめりな感じだった。ここは1軒目と比べてアットホームなバーだったけど、お店全体を流れる“じめっとした空気”は、あまり心地いいものだとは思えなかった。その後店主に「うちで週1でバイトする?」って言われたけど、「いや…いいっす…」って断った。

 

そして3軒目は、仕事関係で文学系のお店へ。ここには仲のいい友だちと一緒に行って、店主も顔見知りだったこともあって、ほかの店よりは格段にリラックスして楽しめた。でも、正直なところ、同行した友だちと普通の居酒屋でサシ飲みした方が圧倒的に楽しいなと思った。わざわざゴールデン街に来なくてもいいかなって思ったのが本音だった。

 

3つのお店を訪れて、ようやく気付いた。

 

「あ、わたし、ゴールデン街向いてないかも」。

カルチャーへのリスペクトと、自分がそこに身を置くことは全然ちがう

典型的なサブカル女子だったわたしが、なぜサブカルの聖地ともいえるゴールデン街に馴染めなかったか。それは、「そもそも、見ず知らずの他人と盃を交わす酒場文化があまり得意ではなかった」っていうのが何より大きいと思う。気心知れた友人と普通の居酒屋で飲むか、ひとりで家飲みした方が、よっぽどリラックスできる。身内大好きぼっち大好きだから、見ず知らずの他人が近い距離にいると、どうしても身構えてしまう。しかも、ああいう毛色のお店だと、隣に座ってる人と有無を言わさず会話しなきゃいけない(う〜んって思っても逃げたり席替えとかできない)じゃないですか。いや〜キツい。ゴールデン街というか、おそらくバーそのものに向いてないタイプの人間ですね。

 

結局わたしが好きだったのは、あくまでも「ゴールデン街から派生した文化」なのであって、「ゴールデン街そのもの」ではないんだなっていうのを痛感した。誰かの経験を通して脚色されたゴールデン街のイメージに憧れていただけで、フィルターを通す前のリアルなゴールデン街は受け入れられなかった。“じめっとした空気”をまとう芸術作品は大好きだけど、自分がその“じめっとした空気”の中に放り込まれるのは苦痛でしかなかった。「にわか」って言われても仕方ないと思う。

 

これはもう、向き不向きや個人の趣向の問題だから、もちろんゴールデン街が好きな人を否定するつもりはさらさらない。でも、なんだか現実を突きつけられたような気がした。わたしは、ゴールデン街に馴染めなかった。

とはいえ、3軒だけしか行ったことないけどね

ゴールデン街には何十軒とお店があるので、通の方からは「たった3軒だけ行っただけで語るな」とお叱りを受けそうな気もする。中には、わたしにとってすごく居心地のいいお店だってあるかもしれない。でも、個人的には3度目の正直。よほどのことがない限りは、積極的に足を運ぶ必要はないだろうと思ってる。

 

きっとわたし以外にも、ゴールデン街に強い憧れを抱いていたのに、いざ訪れたら自分の居場所を見つけられなかったっていうサブカル民はたくさんいるだろう。なんかね、ドンマイすぎるよね。でも、そういうこともある。みなさん、無理のない範囲で各自サブカルライフをエンジョイしようね。